数分、たっただろうか。
お互い沈黙を保ったままで何も話すことが出来なかった。
その沈黙があまりに長すぎて、数時間にも感じられるほどだった。
静かな空間が気まずいと思っていた矢先。
通信機から緊急ブザーが鳴った。
XANXUSのものからも同様の音が鳴り響く。
この音が鳴る状況はたった一つ。
ドンナ・ボンゴレの危機。
はじかれたように、互いに行動に移った。
「カス、ルッスーリアにつなげ」
そう言って、XANXUS自身も別に連絡を取り始めた。
話し方からするとホテルの人間のようだ。
ホテル側からすればゲストが急に消えたとなっては混乱を招くだろう。
用事が出来ただの何だのをでっち上げているのが聞こえた。
こちらはこちらで、方々に連絡を繋いでみるもののどこも回線がつながらなかった。
「くっっそっぉお、ここもだめかああ!?」
「まだつながんねえのか、カス」
「どこもかかりゃしねえんだよ、どうなってんだ」
「予定では、まだ外部に出てるはずだ。そこに向かうぞ」
「了解」
オレは邪魔になるスカートの裾を切り、靴のヒールを落とした。
そしてXANXUSが向かった先に着いて行った。
外はすでに闇に包まれていた。
ヴァリアーにとっては一番の活動時間、移動には好都合だった。
遠くで微かに銃声が聞こえる。
早く綱吉を見つけなくては。
状況がつかめないならば、現場に向かうのが一番だった。
しかしだ。
「う゛お゛ぃボス!今日綱吉に護衛は!?」
「ルッス、あと守護者共が何人か行っている」
「じゃあなんでこんな事態になってやがるんだあああ!」
向かうにつれて物は破壊され、炎は上がり、街がめちゃくちゃになっていた。
それでも街自体の被害を少なくしようとしたのか、郊外に向かってその状況が続いていた。
「あんまりじゃねええのかああこれはあ!!」
「・・・妙だな」
普段の綱吉なら早々に片がつくように手を尽くすはず。
だがその様子はまったくない。
むしろ、その綱吉がやったであろう跡があちこちにあるくらいだ。
オレもXANXUSも嫌な予感がしていた。
ドンパチの音が近くなり、周囲には綱吉と今日会合する予定だったファミリーのバッチをつけた連中が横たわっていた。
死者が出てないのが不思議なくらいの数とそのやられ方を見ると・・・。
「・・・う゛お゛い、どうするんだあボス!」
「止める事を最優先、思い切りやれ」
「了解」
XANXUSも気づいたようだ。
今ここで大被害を巻き起こしているのは、綱吉、だ。
綱吉特有の炎が見えた。
相手が綱吉だということは、手が抜けない。
下手に手を抜くと自分が大怪我する可能性があり、やりすぎると相手に大怪我させてしまう。
気が、抜けない事態だ。
先ほどまでの緊張感とはまた違った緊張に包まれた。
火のないところに煙は立たぬ。
一番大きく音のする方向へと、足をはやめた。
それだけの大事になるほどのことが、綱吉におこった。
なにが、あったんだよ、綱吉。
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