一方日本の拠点内にいる綱吉は、アジト内の執務室にほぼ軟禁状態で仕事をさせられていた。
いくらクロームに言伝してあっても、急に外へ遊びに行きそのまま連絡もなく、帰ってきたのは次の日の昼近く。
流石にこのところの仕事っぷりの良さを差し引いても家庭教師と右腕と守護者の面々を怒らせるのには十分だった。

「うー、獄寺クンそろそろ休憩しない?お腹もすいてきたし・・・」
「では、この部屋に食事運ばせますんで、それまでは仕事なさってください」
「・・・厳しいなあ・・うーん・・・」
「ご自分のなさった事をしっかりと反省なさってくださいね、自業自得ですから」
「・・・ごめんなさい・・」

特にリボーンと獄寺のどちらかが必ず綱吉について監視しているほど心配させてしまったようで。
別にそこまで心配しなくても護衛でXANXUSがついていてくれたんだし、ちゃんとクロームに出かけるって行ったし。
と子供のように綱吉は考えていたのだが、十代目としての自覚が足りないと再度叱られてしまった。
XANXUSだから余計危ないって言われたし。

XANXUSといえば、で急に綱吉は思い出した。
「あのさ、この執務室直通の連絡手段って作れないかな・・?」
「・・何に使われるんですか?今まで通りで十分だと思いますが」
「だって獄寺クン、XANXUSの電話取り次いでくれなかったじゃんか・・・」
「仕事に関係ない電話だからですよ」
「うー、そんなことなかったんだけどな・・・」
「必要なら、俺に伝えてもらいます。それでいいじゃないですか」

出来る事なら外との通信も切ってしまいたいというのがよくわかる。
それだけ心配もかけてしまっているから。

「・・じゃあ専用携帯!持ちたいです、だめかな・・・」
まるで親に欲しいものを強請るかのように綱吉は言ってみた。
「このアジトは電波届きませんけど。それでもよろしければ」
「それじゃ意味ないし・・・」
獄寺は本当の親のようにすべて正攻法で返し、諦めるように言った。
それでも綱吉は何かしらの通信手段を考えていると。

「どうしてそこまで外との連絡を取りたいんですか?今までそんなこと言わなかったじゃないですか」
「・・・・だって、せっかく付き合い始めたんだから、まめに連絡取りたいし・・・」
「は・・・?付き合い・・・始めた・・・?」
「・・うん・・・」

綱吉が顔を真っ赤にしてそう話している横から、獄寺があわてたように聞き返す。
「だっ誰とですかっっ!?えっあのっいっいつの間にっ!!?」
「え・・ざ、XANXUSと・・この間・・から」
「・・・・」


獄寺はその言葉を聞いてふらあと立ち上がり、何も言わずに部屋から出て行った。
何となく生気がなくなったように見えたが、さっきまで元気だったし大丈夫だろうと仕事を続けることにした。
「・・?どうしたんだろ獄寺クン?」
いなくなったならいいか、と机の引き出しから隠していたお菓子を出して口に頬張った。
「ん・・あ!ジャンニーニ呼んで通信用の電話つけてもらえばいいのかな」
お菓子の横にXANXUSから貰った髪飾りと、新しく仲間入りしたネックレス。
早く、連絡できるように頑張ろうと誓った。



ふらりと出て行った獄寺。
彼は泣きながら今知ったばかりの事実をリボーンや他の守護者に話をし。
イタリアまでヴァリアーごとXANXUSを殲滅させる計画を練り始めていた。

「ぜってーゆるさねえ・・・っ」
「本気でやるぞ」






その後。
リボーンと守護者、手を貸そうとしたアルコバレーノの面々がイタリア襲撃計画を綱吉に見破られ。
十代目直々にリボーン直伝のきつい説教を食らわせられて。

『XANXUSに手を出したら問答無用で綱吉の前から消えて貰う』という約束を取り付けさせられたのだった。

「皆・・・わかったよね。あんまりおれを困らせないでよね・・・」


珍しく、異常なほど超直感が冴え渡り。
襲撃を未然に防げたことに安堵している、綱吉だった。





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