「あ、ボス、お帰りぃ〜」
「おお」
「・・・・!!!!!!???」

日本から帰国したXANXUSが予想に反して、とんでもなく上機嫌で帰ってきた。
顔こそ笑ってなかったものの、もしかしたら鼻歌が聞こえてくるかもしれないほどの機嫌のよさだ。
ボスの帰りを心待ちにしてたヴァリアーの面々も驚きを隠せない。
上機嫌の裏には、絶対に悪いことがある。
身の危険を感じるほどだったそのオーラが、別の意味で危険を感じるオーラに変化していた。

「お疲れ様でした、ボス」
「ああ」
周りの驚いた姿を無視して、自分のボスへの挨拶をし、見送ったレヴィに皆が群がった。

「・・・レヴィ!?何があったの!?」
「ちょおっっとおおぉ!?あんなボス、初めて見たわよぉお!?どうしちゃったのよぉお!!?」
「王子でもびっくりしちゃうじゃん、むっつり、早く何があったか言いなよっ!!」

急に言い寄られ、それでも顔色一つ変えずにレヴィは三人に言った。
「・・・確かに少しボスは喜んでらしたようだが・・・?」
「少し!??どう考えても『ものすごく』だよ!何!!何なの!!?」
「そうよお!!日本で何があったのよおお!!!」

「ボスは、沢田綱吉と会談し、のちに食事に行っただけだったが・・・」

その言葉に、全員がぴん、と来た。
「っっきゃあああ!!!」
「えーっそうなのー!!!?」
「しししっボスやるじゃん!」

お赤飯炊かなきゃあだのボスずるいーだの各々銘々に騒ぎ立てる。
普段これほどまでに騒ぐと、XANXUSの逆鱗に触れるのだが今日は何事も起こらないところを見ると本当にボスは上機嫌なのだろうと判断できる。

XANXUSの上機嫌の理由は、間違いなく綱吉。
ルッスーリアと共に選びに行った贈り物も成功したのだろう。

「う゛お゛おい!!何騒いでやがんだあ!?ボス帰ってきてんだろお!?騒いだら殺されっちまうんじゃねえかああ!?」
本部からの連絡対応でXANXUSの変わりに出かけていたスクアーロがヴァリアーのアジトに戻ってきたところにこの大騒ぎ。
XANXUSの帰還予定が今日だったからこそ皆が揃いも揃って騒ぐこの姿に焦ったのだった。
ご機嫌を損ねたXANXUSの矛先はスクアーロであることが多いからである。

「やだあ、スク、アンタの方が声大きいわよ、はしたないわあ」
「大丈夫だって、ししし、ボスッたらちょー上機嫌だからさあ」
「はあ゛!?ボスが上機嫌・・・ありえねえ・・・ほんとかあ!?」
「うん、すごいんだよ。今なら何しても怒られなさそうなくらい!!」
「・・・そうかあ、じゃあ今のうちに報告行った方がいいだろうなああ・・・」

そう言ってスクアーロはXANXUSの部屋へと足を進めた。バカ騒ぎするあの場にいる気になれなかったから。
本当は報告することなどなかったのに、そう言ってあの場から立ち去った。

あいつの思い通り・・・か。
部屋へと戻るスクアーロの足取りは重かった。





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