オレは思っていたよりもすっきりしていた。
もやもやも、腹の痛みも、頭のそれもすっぱりなくなった。
心の底の重たいもんは全部あの事件の日に消化しちまったようだ。

相変わらずXANXUSはヴァリアーのボスで。
綱吉はドンナ・ボンゴレで。
二人は婚約者で。

オレは、あいつらの部下で。


いっそ切っちまおうと思っていた髪も結局そのまま伸ばし続けていた。
周りの奴らもいつも通りの日常風景。
危険な生活にはなんら変わりない。

命を奪う側の人間が大事なもん抱えるなんておかしいかなと思ったけど。
今まで以上にファミリーの奴らとボスが大事に思えるようになった。




XANXUSと綱吉は来月結婚する。
思っていたよりも早く癒えた傷に、綱吉よりもオレが喜んだ。

たまたま綱吉と話す機会があったときに宣言されたこと。
「ブーケ、スクアーロにあげたかったんだけど。欲しい人いっぱいいてね。」
にこにこ笑いながら。
「欲しかったら、自分で取りに来てね」って。

幸せって自分で取りに行くものだから、とまたあの笑顔で行った。



オレは、高いヒールの靴と布の多いドレスを着て、歩く練習を重ねる。
XANXUSが少しでもオレを選ばなかったことを後悔すればいいと思って。

『女』でいることがつらくなくなったのは綱吉のおかげで。
あれだけ嫌だった女の部分も大事と思える自分は嫌いじゃない。
足りない部分はたくさんあるけど、今のオレはきっと幸せなんだろうと思う。


来月、誰よりも一番祝福できるように、俺は努力を重ねている。















おれ、ね。
本当はXANXUSがスクアーロに子供を産ませたかった事も
事実を知って諦めた事も
全部全部、知ってたんだ。

XANXUSは教えてくれた。
隠し事したくなかったからって。

話してくれたときに、XANXUSにも言ったけど。
おれ、スクアーロに幸せになって欲しいんだ。

彼女の一番大事なものを取っちゃったおれが望むのは
おかしいことだとは思うけど。
幸せに、なってください。




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